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評価:
今邑 彩
集英社
¥ 2,415
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【あらすじ】兄は成績優秀・容姿端麗・スポーツ万能の非の打ち所のない男。一方、弟は顔も頭も運動神経も並な平凡な男。そんな似ても似つかない兄弟の弟として育った優太は、ある日、父親からの手紙を発見する。自分の本当の両親は他にいるのかもしれない。そんな内容の手紙に、優太は、自分の出生の秘密を探るべく、旅に出ることにするのであったが…。
【感想】
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☆いつもの朝に
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主人公の少年が、とある秘密を知ってしまって苦しむ…って話ですね。
こんな真実なら、知らなきゃ良かった。
あの日、普通に笑っていられた「いつもの朝に」戻りたい。
そう思わずにはいられない。
そんな、ちょっと過酷なストーリーが可哀想でした。。。
ただただ同じような毎日が当たり前に過ぎて行って
同じ家族に囲まれて、同じ友だちといつも一緒にいられるような
そんな毎日がいつまでも続くと思っていたのに。
震災があった後だから尚更感じるのかもしれませんが、「当たり前の毎日」があるのは「当たり前」じゃないんですよね。。。
「当たり前の毎日」が「当たり前に過ごせること」が「大事」だってこと。忘れずに生きていきたいなって感じました。
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☆兄弟の絆。親子の絆。
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あと、物語のキーになってくるのが、「兄弟の絆」と「親子の絆」なんですが…
兄弟の絆とか親子の絆ってどれくらい強固なものなんでしょうね?
例えば、今まで本当の親子だと思ってきた両親が、本当は実の両親じゃなかったりしたら…
あるいは、今まで本当の兄・弟・姉・妹だと思ってきたのに、実は血が繋がっていないことがわかってしまったら…
自分が受け入れる側だったりするならまだ受け入れやすかったりするかもしれないですが、それが当事者だったりしたらやっぱりショックですよね(^_^;)
で、そんな風に苦しんでる弟を、息子を、兄として、親として、どう接してあげるのか。
実は、この家族には、それ以上過酷な真実が隠されていて、これが原因でかなり悲惨な運命を歩むことになるんですが...
そんな運命にも負けずに立ち向かっていく親子兄弟の絆が素敵でした。。。
ジャンルとしてはミステリー…なんでしょうけど、思わぬ感動話に思わずホロリ。な感じでした。
オススメいただいたドリーマンさんどうもありがとうございます。