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評価:
中山 七里
宝島社
¥ 590
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【あらすじ】プロのヴァイオリニストを目指し、音大に通う音大生の晶は、ある日、学内で行われる演奏会のオーディションに合格し、日々練習に力を入れていたのであったが、その学内で、時価2億円に相当するチェロ、ストラディバリウスが何者かに盗まれるという事件が発生してしまった。完全な密室だったその部屋から楽器が盗まれるなどとは本来はありえないはずなのであったが、それをきっかけに、学内では不審な事件が頻発するのであった…。
【感想】
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☆音楽ミステリ
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天才ピアニストの岬洋介が事件を解決する岬洋介シリーズの2作目ですね。
前作の「さよならドビュッシー」にも出てくる子と一緒に事件を解決するのかなって勝手に思ってたので、あの子は出てこなかったってのはちょっと残念だったんですが…
今作は音大が舞台になったミステリなだけあって、音大生の人間関係とかそういうのの生々しさとかが上手く表されててよかったなーって思えた作品でした。
音大に合格して、音楽の道に進むべく日々精進はしていても、音楽家として食べていけるのはほんの一握りの人間だけ。
大多数の人間は途中で夢を諦めてサラリーマンなど他の道を目指さなくてはならない…けど、そう簡単には夢を諦めきれない。
時には才能のある人間を僻んだり、足を引っ張ったり。
一緒に学んだり一緒に演奏したりする同士でありながらも場合によってはみんなライバルな関係。
音大生もなかなか大変なんだなぁってのを感じた作品でした。
音楽やってる人って楽しそう〜ってイメージがあったんですが、なかなかシビアな面もあるんですね。
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☆音楽は人を救う
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あとは、多くの人たちが絶望感を味わってる中で、岬先生がピアノを弾くシーンがあったんですが…
そこんところはぜひ、映像で見てみたいなーって思いました。
みんながイライラしたり、落ち込んだりしてるところで、場違いだとは思いつつピアノを弾く岬先生。
そして、音楽のちからでだんだんと変わっていく場の空気。
音楽ってやっぱり人の気持ちを変えていく力がありますよね。
暗い雰囲気を一掃してしまうような音楽。ぜひ聴いてみたいなって思いました。