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評価:
小野寺 史宜
実業之日本社
¥ 1,620
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【感想】
牛丼屋さんを舞台にして繰り広げられる群像劇ですね。
メインは、仕事はきっかりできるんだけど、ちょっと太めで、無愛想な女子大学生のお話なんですが…
彼女を敵視してるバイトの主婦やら、牛丼屋さんの店長やら、たまたまそこに居合わせたお客さんやらの視点にころころ切り替わるので、読んでてなかなか楽しかったです。
最初のうちは、あまりにも視点が切り替わるので、えっと、これは誰のエピソードなんだっけ?と若干混乱してしまいそうになったんですが…
想像してた以上にいろんな登場人物たちが、隠れた繋がりを持ってたりしたので、そこんところは濃くていいですね。
あの人がこんなところに登場してる!みたいな展開、結構好きでした。
以下、印象的だったお話の感想です。
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☆肉蝿
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デブで無愛想な女子大生の日和ちゃんと、派手目でバイトの男の子に色目を使ってばかりいる恵さんのバトルのお話。
表面上は目立った対立はしていないものの、内心ではお互いにお互いのことろ良く思っていないふたり。
最初のうちは、なんかどっちもどっちな感じで、嫌な性格してんなーと思って読んでたんですが…
どっちかっていうと、人を見た目で判断して見下してくる恵さんの方が感じ悪かったですね(^_^;)
でも、そんな恵に負けじと嫌がらせを仕掛ける日和ちゃんもなかなかダークでよかったです。
一方的にやられっぱなしじゃ癪ですからね。
やられたらやり返す!みたいな展開、ちょっと好きでした(笑)
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☆弱盗
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5年前に別れた彼女と5年ぶりに会う約束をした男が牛丼屋にやってくるというお話。
まぁこれだけだとなんのこっちゃ?になってしまうかと思いますが…
これまでに張られまくってた伏線が、一気に回収されていく感じが読んでてなかなか楽しかったです。
あの時あそこで登場したあの人が、ここでこんな役で登場してる!みたいな。
あの時のあの人が実はこの人だったんだ!みたいな。
小説の中での話ではありますが、意外と世間は狭いのね?みたいな感じの印象を受けた作品でした。