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評価:
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実業之日本社
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【あらすじ】
親友と彼女に裏切られ、仕事も住む家も失ってしまった信之。そんな彼は、毎日、車の中で寝泊まりする生活を送っていたのであったが、そんなある日、彼は、一人の老人と出会った。「山形まで行きたいんだ」そんなことを言ってくる老人が、実は大量のお金を持っていることを知った信之は、老人を山形まで送ってあげるついでに、隙あらば、お金を奪ってやろう、などという邪な思いを胸に抱くのであった…。
【感想】
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☆人生一期一会、かな?
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ちょっとした理由から無職になってしまった男性が、見ず知らずのおじいちゃんと外国人女性を連れて、日本全国を旅する、というお話。
これだけ読むと、ちょっとありえない展開!?って思ってしまいそうですが…
ひょんなことから、一緒に旅をすることになって、いろんなトラブルに巻き込まれていく感じが、なかなか楽しかったです。
普通の人生を送っていたら、まずこんな面子で旅行したりはしないですよねー。
ありえない人たちとのありえない旅。
なんか人生観変わりそうだなーってのを感じました。
最初のうちは、ただ一緒に行動してるだけ。隙あらば騙してやろう!みたいな感じだった主人公も、ふたりと一緒にいるうちに相手に感化されて…
もしふたりが何かトラブルに巻き込まれようもんなら、相手の代わりに泣いたり怒ったりできる、そんな人間関係に深化していったのが印象的でした。
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☆個性的なメンバー
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で、そんなこんなな旅物語なんですが、出てくる主人公たちもなかなか個性的で面白かったですね。
まず、ひとりめは、何故か山形まで行くと言ってはりきっているおじいちゃん。
人を疑うことを知らないのか、見ず知らずの男の車にホイホイ乗ってきちゃうような気さくなおじいちゃんなんですが…
実は、抱えているバッグの中には大量の札束が入っていたりして、一体何者!?な感じが面白かったです。
で、ふたりめは、そんなおじいちゃんを山形まで車で送っていくことにした青年。
普通に考えたら、そんなおじいちゃんをわざわざ山形まで車で送っていくなんて、なんていい人なんでしょう!ってことになるのかもしれませんが…
実は、おじいちゃんが抱えている大量の札束目当てというなかなかの悪党っぷりが素敵でした(笑)
隙あらば、バッグだけ盗んで、おじいちゃんはどこかに捨てて行こう!なんて考えちゃうような人だったんですが…
そんな彼がだんだん変わっていく感じ、なかなか好きでした(^^)
で、最後は何故か青森までヒッチハイクで行こうとしていた日系人の女の子。
それこそ、見ず知らずの男の車に乗るなんて!な感じがしなくもないんですが…
日本人の血を引いてはいるものの、アメリカ育ちで日本人とはちょっと違う、そんなムードメーカーな彼女はなかなか楽しかったです。
主人公との間(もしくはおじいちゃんとの間?)に恋が芽生えるのか、そこも見どころでした(笑)