映画と本の備忘ログ

映画・本・テレビなどの個人的な感想などを載せてます。
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読書記録「日曜日の夕刊(重松清)」

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 【感想】
どこにでもいそうな12組の家族(恋人含む)の日常を描いた短篇集ですね。

12編も入ってたので、それぞれ短い話なのかなって思って読んでたんですが、意外とボリュームがあって読むのに疲れました(^_^;)

家族の話とか恋人同士の話は読んでて面白かったんですが、父と息子の話とかは、まだ自分が独身なせいかイマイチピンと来なかったのが多かったですね(^_^;)

以下、印象的だった短編の感想です。

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☆チマ男とガサ子
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几帳面で細かいことが気になって仕方がない「チマ男」と、細かいことはどうでもいい大雑把な「ガサ子」のカップルの話ですね。

僕はどっちかっていうと細かいことはどうでもいい「ガサ子」タイプで、部屋なんか散らかり放題なんですが…

細かいことまでイチイチ言ってくる「チマ男」タイプの人と付き合うってのは…想像するだけでゾッとしました(^_^;)

こういう性格が真逆なカップルって…上手く行く場合ってあるんでしょうかね??

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☆桜桃忌の恋人
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熱烈的太宰ファンの彼女と付き合うことになって…って話ですね。

普通に文学的に太宰治が好き!ってだけなら特に問題はないかと思うんですが…

この彼女、ちょっと度が過ぎていて、太宰が入水した日には、自分も必ず入水して自殺を図るってくらいのファンなのでちょっとアブナイ感じでスリリングでした。

主人公と付き合うことによって自殺はやめるのか、それとも、主人公を巻き込んで心中してしまうのか。

なんかちょっと怖いお話でした。

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☆寂しさ霜降り
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お父さんが家を出ていってしまってから太りに太りまくって90キロを超えてしまった姉の話ですね。

で、お父さんが余命3ヶ月だということを知り、お父さんに最後に会うために3ヶ月で40キロのダイエットを決意するんですが…

3ヶ月で40キロ減ってのはかなーり怖ろしいですよね。。。

1ヶ月で1キロ落とすのだってしんどいのに40キロなんて。。。

実際にダイエットに成功してお父さんに会えたのかどうかは読んで下さいってことにしておきますが、なかなかすごい話でした(^_^;)

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☆すし、食いねえ
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とあるテレビ番組の企画で高級お寿司屋さんに行く事になった普通の家族の話ですね。

僕はそんな高級お寿司屋さんなんて行ったことないのでよくわからないんですが…

食べる順番とか食べ方とかいろいろ「お作法」があるんですね。。。

でも、折角お寿司を食べに来てるのに、自分の食べたいものを頼めないで自分の好きなように食べられないなんてなんか堅苦しくて嫌ですよね。。。

一流な人からするとマナーがなってない!とかって怒られるのかもしれないですが、やっぱり食べ方とか順番とかそういうのはどうでもよくて

みんなが好きなものを楽しく食べられた方がいいなぁって感じてしまいました。


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読書記録「ブランケット・キャッツ(重松清)」

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 【感想】
特定の毛布(ブランケット)があれば、どんなお宅にも行きます!というレンタル猫な話ですね。

まぁこういう商売はおそらく現実的にはやってないんでしょうが…

人間の都合で、あっちの家に行ったりこっちの家に行ったり…ってのはなかなか大変ですよね。猫にとって(^_^;)

やっと慣れてきたなぁって思ったら、お店に戻されて、また違う人に貸し出されて。

知らない人の家を転々としてるんじゃ、心が安らぐ暇もないよなぁって思いました。

…ってまぁ、これは猫可哀想!って話じゃないんですけどね(^_^;)


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☆尻尾のないブランケット・キャット
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クラスでいじめをしてる子がブランケット・キャットを飼う…って話ですね。

いじめられっ子の話はよくあるかと思うんですが、いじめっ子の側の話はあんまり読んだことなかったので、ちょっと新鮮な感じでした。

まぁいじめっ子っていっても、みんながみんな「いじめって楽しい♪」って感じでいじめてる悪いやつばっかりじゃないですもんね(^_^;)

結果的にいじめちゃってるけど…ほんとはいじめなんてしたくない。でも、なんとなくいじめちゃってる。

そんな主人公の微妙な心境が上手く出てて良かったかなって思います。

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☆身代わりのブランケット・キャット
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おばあちゃんが可愛がっていた猫はもう死んでしまったけど、せっかく遊びにくるおばあちゃんを悲しませたくないから、そっくりな猫を借りてきて…って話ですね。

でも、このおばあちゃん、久しぶりに会ったら、思った以上に頭の老化が進んでいて…っていうストーリーがなかなか切なかったです。

息子の立場からすると、自分を育ててくれた親なんだから、何が何でも自分の家で引き取って面倒を見るのがいいのか。

それとも、それなりのお金を払ってちゃんと面倒を見てくれる施設に預けるのがいいのか。

年老いた親がいる世代の方ならみんな通る道…なのかもしれないですが、どちらを選ぶにしても、なんか苦渋の選択って感じでツライですね。。。

うちも実家の祖母は施設に入ってしまったので、それをちょっと思い出して寂しくなりました。。。



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小説「あすなろ三三七拍子(重松清)」

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 【あらすじ】
「あすなろ大学に入学し、応援団を再建しろ!」そんな無茶苦茶な社長命令により、45歳にして大学に入学し、応援団団長を勤めることになった藤巻大介。中年なのに学ランを着て登校し、上下関係の厳しい団では同い年のOBにしごかれ、顧問には廃部をちらつかされ、やっと獲得した部員も3人のうち、一人は金髪のチャラ男に、一人は女子学生という有様。なんとかせねばと悩む大介であったが…。

【感想】
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☆意外と面白い
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なんか思ったより分厚くて(421ページの二段構え)、内容も、中年男性が昔を懐かしむようなストーリーなのかなーと勝手に思ってたので、買ったはいいもののなかなか手が伸びなかった作品なんですが…

読んでみたら意外と思った以上に面白かったです。

中年男性が大学に入学して、学ラン着て応援団やってるーって設定だけでもなかなか奇抜で面白かったりもするんですが…

それに輪をかけて周りのサブキャラクターたちがいい味出してるんですよね。

主人公の大介と同じ年のくせに、OBだからーって理由で無茶苦茶言ってくる奴らとか、廃部をちらつかせて色々言ってくる顧問とか。

間に挟まれる立場の人間って辛いっすね…としみじみ思っちゃいました(笑)


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☆応援団の存在意義
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あと、この応援団。学ラン着て、上下関係が厳しくて、先輩には絶対服従で、男尊女卑で…

なんかいかにも「昔の大学の応援団」って感じの組織なんですが、そんな応援団にちょっとずつ風穴を開けていくような展開が良かったですね。

昔からこうだったんだから、今でもこうあるべき!って言い続けてたら、そんな組織の運命は滅びるしかないですもんね。

昔は良かったーって過去を懐かしむ気持ちはあってもいいかと思うんですが、それが通じないからって、現状を否定するのはやっぱりなんか間違ってるよなーってのを感じました。

組織も人も、時代が変わったら変わらなきゃいけませんよね。やっぱり。


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☆大団円もいい感じ
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あと、ラストも、いかにも大団円ーって感じで終わるんですが…

やっぱりなんかうまーくまとめたなぁって感じで読後感は良かったですね。

最初はやっぱりオジサン向けの小説かなーっていう印象もあったんですが、以外といろんな世代の人が読んでみるのもいいかと思います。

たぶん、世代によって受けるイメージが全然違う話なんじゃないかなーって思います。

僕は中年世代でも現役大学生の世代でもないその中間的なところにいるんですが、オジサンにも若者にも共感できたりして、なかなか面白かったです(笑)

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小説「その日のまえに(重松清)」

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 【あらすじ】
余命数ヶ月を宣告された妻・和美の希望により、昔夫婦で住んでいた思い出の地へとやってきた僕ら。しかし、時は無常にも過ぎ去り、かつての面影はあまり感じられないほど様変わりしてしまっていたのであった。そして、さらに時は無情にも過ぎ去り、彼女の命が尽きる日は刻一刻と迫っていくのであったが…

【感想】
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☆生と死
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余命数ヶ月を宣告された人たちが残された日々をどう生きるかーみたいなのを描いた短篇集なんですが…

さすがに死をテーマにした作品なので、なかなか重かったですね(^^;

クラスメイトの子がもう長くはないことを知ったとき、同級生である小学生の自分たちは一体どうすればいいのか。

母親が余命数ヶ月かもしれないと知ったとき、高校生の息子はどうすればいいのか。

妻が余命数ヶ月だとわかったとき、夫は、本人はどうすればいいのか。

そんなの嫌だ!って叫んだとしても、病気が治るわけじゃないですもんね。

最愛の人たちが死んでしまうってことはとっても辛いことなんだろうって思うけど...

きちんとそれを受け止めて、残された時間を大切に過ごさなきゃいけないんだろうなってのを感じました。


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☆死の不公平さ
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ただ、死はみんなに平等に訪れるものだってのはわかりますが、その時期はやっぱり不公平ですよね。

自分はもう充分生きたからもういつ死んでもいいって思ってるような方々が長生きしてしまって、子供の方が先に亡くなってしまうようなことがある一方で、まだまだ生きていたい!って思ってるような子供が幼くして亡くなっちゃう場合もありますからね。。。

あの人がこんなに早く亡くなってしまうなら、自分の命を縮めてでももっと生かしてあげたかった。そう思うことがある人もきっと沢山いますよね…。

「じょうぶな子に産んでやれんで、すまんかった」という父親のセリフがあるんですが、それがズシンときました…。



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小説「疾走(重松清)」

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評価:
重松 清
角川書店
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【あらすじ】
先祖代々その地に住む「浜」の人々と、新たに干拓されたことにより移り住んできた「沖」の人々が、それぞれお互いに相手のことを嫌悪し、決して交流しようとしないという特殊な地域に生まれ育ったシュウイチとシュウジの兄弟。彼らは、そんな歪んだ環境の中、精一杯生きていたのであったが、ある日、兄であるシュウイチはそのストレスを爆発させ、犯罪を犯してしまう。一気に「犯罪者の家族」となってしまったシュウジの家族。それは、「沖」からも「浜」からも相手にされない村八分になるということであったが、そんなシュウジにはさらなる過酷な運命が待ち受けているのであった…。

【感想】
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☆重い。。。
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重い話だってのはわかってたんですが…読んでみて…やっぱり重かったです(^^;

なんかページをめくるにつれて、どんどん酷い状態に陥っていくんですよねぇ。

最初のうちの、学校でいじめられたりーなんてのは可愛いもんだ…って思えちゃうくらい酷いストーリーでした。


堕ちて、堕ちて、堕ちて…もうこれ以上ないだろーて思ったら、さらに堕ちて、堕ちて、堕ちて…。

途中からはもう、人間として扱われてないですもんね。。。

そろそろ、彼にもいいことがあるんだよね?ね?ね?と思いつつクライマックスに突入して…

結局のところ、最後の最後までとことん落として、トドメをさす。

ある意味潔いっちゃ潔いんですが…うーん。やっぱりダークすぎるっす(T_T)


たとえ、会社とか学校でひどい目にあったとしても、彼ほど酷い事態になることはないんだから元気だせよ!ってことが言いたかったんでしょうかね?

救いようのない話はやっぱり好きじゃないっす。気分が沈みますね。。。




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小説「ステップ(重松清)」

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評価:
重松 清
中央公論新社
¥ 1,680

 【あらすじ】
結婚三年目にして最愛の妻・朋子を失ってしまった健一。朋子の両親である義父母は、彼が一人で育てるのは大変だろうと、2歳の娘・美紀は自分たちが引き取ろうかと言ってくれるのであったが...それでもやはり健一は美紀と一緒に生きていくことを決意するのであった…。

【感想】
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☆パパ一人、子一人
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ちょっと前まで放映されていた「マルモのおきて」や「うさぎドロップ」がやっぱりパパ一人、子一人みたいな感じだったので、それと似たような話なのかなーって思ってたんですが(あっちは実際のパパじゃなかったですが)、あっちはあんまり年を取らないのに対して、こっちはだんだん年を取っていくのが新鮮でした。

2歳で幼稚園に入って、6歳で小学生になって、12歳で中学生になる前までを描いているんですよねー。

2歳のときはほんと、子供ーって感じなのに、小学校高学年になってくると、父親との関係も微妙に変化してきたり、いろんなことを考えたり悩んだり。

一言に「子供」って言ってもやっぱり6歳と12歳じゃ全然違うよなーってのを改めて感じました(^^;


また、「子供が大きくなる」ってことは、その分親や祖父母は年を取るってことなんですよね(^^;

義父母の「老後」の話とか、「病気」の話なんかも出てきて、明るい話ばっかりじゃないってところもなんか奥が深いなーって感じました。


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☆パパと娘の話中心とおもいきや…?
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あと、パパと娘の話が中心の話かと思ってたんですが、サイドストーリーとして、パパとおじいちゃんの話が結構絡んできて、なんかいいなーって思いました。

普通、妻が亡くなったらやっぱり義父母とはちょっと疎遠になっちゃいますよね(^^;

しかも、健一はまだ若いので再婚の話とか出てくるわけで…

健一としてはさすがに義父母に遠慮して再婚にはあんまり気乗りできないけど、

義父母は自分たちのせいで再婚を邪魔するわけにはいかないと思って気を使う。(でも再婚して自分たちの側からいなくなってしまうのは寂しい)

そこんところのびみょーな心情とか、上手く表れててよかったなって思います。


でも、さすがに、再婚ーってなった場合って、義父母との付き合いって普通はどうなるんでしょうね?

律儀に関係をつなぎとめて置くもんなのか、はたまた、切れてそのまんまにしちゃうもんなのか…。

子供がいないなら自然と切れてそのままーって感じもしますが、子供がいるとなるとなんかややこしいですよね(*_*)


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小説「いとしのヒナゴン(重松清)」

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 【あらすじ】
 中国地方山間部に位置する比奈町。そこは、かつて未知の生物「ヒナゴン」が出没する町として一躍話題になった町であったが、結局のところ「ヒナゴン」は発見されず、町も過疎化が進むばかりであった。そんな折、新たに町長になった五十嵐は、ヒナゴンの存在を信じ、新たに「類人猿課」を設置。ヒナゴンの発見をきっかけに町の活性化を図ろうとするのであったが、それは町を町長派と反町長派に分断した争いへと発展していくのであった…。

【感想】
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☆田舎って...
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「いとしのヒナゴン」なんてタイトルなんで、なんか可愛いマスコットキャラクターみたいな動物が現れて、みんなの人気者になる〜ってストーリーなのかと思ってたんですが...そんな単純な話じゃなかったですね(^^;

いいところとか悪いところとかそういうところ全部ひっくるめて「田舎」でのお話って感じでした。

新しい人の出入りが少ないから、住民同士の繋がりが強くて、それ自体はいいことなんだろうけど、それが故に新しくその土地にやってきた「余所者」や故郷を捨てて出ていったのに戻ってきたような「負け犬」にはとことん冷たい。

いざ選挙ともなれば、町のためには違う候補を選んだ方がいいとはわかっていても、しがらみがからみ合って、仕事を失ってしまう可能性があるから、好きな候補者は選べない。

どんなに本気で町や地域のことを愛していて一生懸命でも、有力者に逆らえば容赦なく潰される。

そんな田舎の「冷たさ」がちょっと際立っていたように思いました。

田舎っていい人が多くて居心地がいいーってイメージがありますが、そういう面だけじゃなくて、なんだかんだで後ろ暗い部分もあったりするんですよね。

そういうところが上手く描けてるなって思いました。


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☆読後感はいい感じ♪
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でも、クライマックスからラストにかけては、このモヤモヤ感というか、嫌〜な空気を吹き飛ばすかのような展開だったのが良かったですね。

結構いい感じで泣けそうなハッピーエンド♪


結局のところヒナゴンはいるのかいないのか、町を分断するような争いはどう収束するのか。

...ってなところは読んでみてのお楽しみ〜♪って感じなんですが、思った以上に爽快な感じで終わったので読後感は良かったなーって思います(^^


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☆「いないんだ」と「いるけど会えないんだ」
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あと、印象的だったのはこのフレーズ。

「ヒナゴンはいないんだ」と思うのと、「ヒナゴンはいるけど会えないんだ」って思うのの違い。

諦めちゃってるのと、信じているのの違い。

「信じるものは救われるー」じゃないですが、前者より後者の方が前向きで、夢があるような感じがしていいなーって思いますね(^^


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小説「青い鳥」

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評価:
重松 清
新潮社
¥ 1,680
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 【あらすじ】
 喋るのが苦手で、卒業式を欠席したいと思っている生徒。教師をナイフで刺してしまい、それ以来クラスで浮いてしまっている生徒。父親が交通事故で相手を死なせてしまい、それ以来交通事故に敏感になってしまった生徒。直接いじめに関わったわけではないが、傍観することにより、友人を自殺未遂にまで追い込んでしまった生徒。クラスのボスに逆らえず、自分を殺して生きている生徒。両親がなく、施設で育った生徒。一言で「中学生」といっても、その中には様々な生徒がいる。そして、たった一人で悩み、苦しんでいる生徒もたくさんいる。非常勤講師の村内は、そんな生徒達の前に、ある日突然現れるのであった…。
 
【感想】
 「村内先生」という吃音の教師は、どのエピソードにも登場しているんですが、どっちかっていうと、悩みを抱えた中学生たちのエピソードを集めた短編集っていう印象が強かったです。よくある学園モノのように、教師がヒーローで、教師自体が全面的に表に出てきて、生徒達の悩みを解決するっていう感じではなくて、生徒達が悩んでいるところに、さりげなく現れて、そっとアドバイスをしてくれるようなそんな感じだからでしょうか。重要な役どころではあるものの、ちょっと存在感は薄いような感じがしますね。ただ、決してつまらないわけではなく、やっぱり悩める少年少女の心情はよく描かれているなぁって感じました。
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小説「永遠を旅する者 ロストオデッセイ 千年の夢」

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評価:
重松 清
講談社
¥ 1,680
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 【あらすじ】
 永遠の命を持つという旅人・カムイ。永遠の命を持つが故に、いくつもの街や村や国が誕生し、滅びていくのを目の当たりにし、カムイ自身も傭兵として戦いに加わることもあった。当然の如く、そこで出会った人々も、カムイよりも先に老い、死んでいくのだったが、カムイは様々な人々の生き様を目にするのであった。

【感想】
 「ファイナルファンタジー」の坂口博信、「バガボンド」の井上雄彦、「流星ワゴン」の重松清がタッグを組んだ壮大なスケールの作品らしいんですが…、さすがに小説版だとタッグを組んでる意味ってのは感じられなかったですね。挿絵とかが入ってるわけじゃないですし…(表紙は井上さんでしたが)
 短編がものすごく沢山入っていて、感動的なエピソードもいくつか入っていたりするんですが、個人的にはやっぱりこの壮大なスケールを活かして、ぜひとも長編を書いて欲しかった…そう思いました。ただ、RPGによくある、街から街へと旅を続けているような雰囲気とか、カイムは年を取らないので、昔出あった人々が、次会うときにはみんな年老いてしまっているという物悲しさがよく伝わってきたのでよかったです。
 なんかこれ読んだら、久しぶりになんかRPGのゲームをやりたい気分になってきました。
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小説「かあちゃん」

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評価:
重松 清
講談社
¥ 1,680
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 【あらすじ】
夫が交通事故で相手を殺してしまって依頼、決して笑わなくなってしまった母。いじめを起こし、相手を自殺未遂まで追い込んでしまった中学生の少年の母。認知症が進み、自分の娘のこともわからなくなってしまった母。優秀な教師として名をはせた母とその息子としての立場にプレッシャーを感じてしまっている若手教師の息子。そんな母親たちの物語。

【感想】
読んでみて感じた事としては、「母は強く、そして偉大だな」っていうのと、「母親っていうのは、子供がどんなになっても、愛し続けてくれる人なんだな」って言うところでしょうか。ちょっと感動的なシーンが多くて、うるうるしながら読んでました^^;
また、一言で母親と言っても、その境遇は千差万別。この作品でも色んな母親が描かれているんですが、なかなか感動的なエピソードが多くてよかったです。
とりあえず一つだけエピソードを紹介すると、認知症の母親と、その母親を引き取って介護をしている娘。そして、さらにその娘の親子3代の話があります。孫からしてみれば、おばあちゃんはお母さんに迷惑をかけているだけの人。自分では何にもできないから下のお世話までお母さんがしている。お母さんが苦労しているのはわかっているから、おばあちゃんなんて死んじゃえばいい…なんてことも思ってしまう。でもお母さんからすればおばあちゃんは実の母親。大変なのはわかってるし、死んじゃえば楽になることもわかっているけれども、お母さんにとっておばあちゃんは、実の母親で大事な人。死んで欲しいなんて思えない。こんな感じの母と娘の間での葛藤の様子が描かれているんですが、それがすごく上手いんです。そして、ラストではちょっと涙ぐみました。すごく素敵なエピソードでした。僕は男なのでそういう関係になることはありえないんですが、母と娘の関係ってなんかいいなって思いました。
とりあえず、感動したい方にオススメです。死んでるか生きてるかは別として、産まれてきた以上、母親がいない人ってのはありえないわけですから、きっと誰でも何かしら感じるものがあると思います。きっと親孝行したい気分になるはずです(笑)また、子供がいる女性の方ですと、自分の母親に対する想いという観点と、自分の子供に対する母親の想いという観点から読むことができるので、男の人と比べると2倍、感じるものがあるんじゃないかなーと思います。ですので、「母親」になったことがある人にはぜひ読んで欲しい1冊だなと思いました。

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