|
評価:
垣根 涼介
新潮社
¥ 1,575
|
【感想】
企業に依頼されて人員整理を行う、いわゆる「リストラ請負人」の第四弾ですね。
一言で「リストラ」と言ってしまうと、問答無用でバッサバッサと社員を解雇していっちゃうようなイメージがありますが…
この作品では、強引な手法で無理矢理社員をやめさせるのではなくて、その人の将来を考えた上でどうするのがベストなのかを問う感じで進んで行くのが、すごく興味深くて面白かったです。
リストラを行うくらい傾いている会社なのだから、そのまま会社に残ったとしても給料は激減、会社自体もいつ倒産するかわからない。
かといって、会社をやめたとしても、年齢が行ってる人や、スキルがない人は再就職が難しいかもしれない。
あるいは、やりたいことが他にあるなら、思い切って転職してしまった方がいいかもしれない。
人それぞれに違った人生があるのだから、十把一絡げにぶった切るのではなく、その人の人生のアドバイスをしてあげるような、そんな展開が今作もなかなかステキでした。
以下、印象的だったお話の感想です。
--------------------------------------
☆勝ち逃げの女王
--------------------------------------
会社更生法が適用された、航空会社のお話。
といっても、今回はリストラ要員を決める話ではなくて、退職希望者の中から、一部の優秀な社員を引き止めるというお話。
退職の募集をかけておいて、集まりすぎたから今度は辞めるのを辞めて欲しい!なんて言い出すなんて、なんて自分勝手な!と思ってしまいますが…
まぁ社員がみんないなくなってしまったら会社は成り立たなくなってしまうので、ある程度は仕方ないのかもしれませんね。
で、そんなこんなな航空会社でのお話なんですが…
必死に会社にしがみつこうとする人と、いくら引きとめようとしても優雅に去っていく人との差が対照的で面白かったです。
ものすごい倍率を勝ち抜いてようやく入った一流企業。
もちろん、そこで働き続けるのもまた正しい道なんだとは思いますが…
そんな一流企業に未練もなく去っていく人材がすごくかっこよかったです。
まさしく勝ち逃げの女王!
自分もそんな生き方してみたいですが…間違いなく無理ですね(笑)
--------------------------------------
☆永遠のディーバ
--------------------------------------
仕事の業績もぱっとせず、会社にとっては必要でない人材であることは間違いない男性。
彼はどんな待遇であろうと会社に残ろうと考えていたのであったが…というお話。
普通の人間で、他に何のとりえが在るわけでもなく、やりたいことがあるわけでもなく…っていったら、嫌でも会社にしがみつくっていうのがベストな選択なんでしょうね。きっと。
ただ、給料も待遇も悪くなり、仕事も面白く無いんじゃ…なんか人生ツライですよね。。。
人生どん詰まりになるんだったら、思い切って違う道を歩んでみるのもいいのかなぁなんてちょっと思えたお話でした。
でも、日本だと年行ってからのリスタートって厳しいですよねぇ。。。