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【感想】
東京會舘を舞台にした連作短編集ですね。
時代は大正12年からスタートし、平成27年現在までの約100年の東京會舘の物語になってます。
…って自分、こういう歴史を辿っていくような物語って結構大好物なんですよねぇ。。。
大正のちょっとレトロだけどなんかオシャレな雰囲気、
第二次世界大戦中の混沌とした雰囲気、
戦後のGHQ占領下のちょっとピリピリしつつも新時代感のある雰囲気、
昭和の古きよき時代な雰囲気、
そして、平成のスマートな感じの雰囲気。
出て来る人たちは違えども、舞台はみんな東京會舘。
いろんな時代を見守り続けてきたんだなーと思うとなんか感慨深いお話でした。
…といいつつ、実は自分は東京會舘行ったことないんですが(^_^;)
以下、印象的だったお話の感想です。
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☆しあわせな味の記憶
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かつて、「お土産のお菓子」なんて存在せず、高級菓子はお店で食べるもの〜だった時代のお話。
そこをなんとか〜って感じでお菓子作りにチャレンジしていくっていうお話なんですが…
お店でしか出せないお菓子だったら、お店に来てもらわない限り、味わえなくて、
ごく一部の人しか食べたことのない味になっちゃうかと思うんですが…
お土産用のお菓子を開発することで、お店に来れない人にもお菓子のファンが広がった!ってのが感動的でした。。。
直接お店に来てもらって食べてもらって喜んでもらえるのはもちろんうれしいんでしょうけど…
会ったことも見たこともないような遠いところに住んでる人が、実は自分の作ったお菓子のファンなんだ!
なんて言われた日にゃぁ職人冥利に尽きるってもんですよね。
仕事に情熱を注いで、かつ、やりがいも感じられる、なんかそういう仕事っていいなぁと感じたお話でした。
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☆煉瓦の壁を背に
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かつて、家族と一緒に食事に来ていた少年が、やがて、直木賞作家になって戻ってくるというお話。
とある事情により、彼は、その少年時代以来、東京會舘には来れなくなってしまうんですが…
やがていろんな苦難を乗り越えて、夢だった直木賞を受賞して、思い出の東京會舘にやってくるっていう展開がすごくよかったです。
そして、その後に待ち受けていた、驚きの真実が!!やばい、ちょっと泣けてきます。。。
どんなに離れてしまっても、家族っていいもんだなぁと感じてしまったお話でした。
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☆また会う春まで
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東京會舘が取り壊される直前に、結婚式を挙げる女性のお話。
このお話、最終章ということで、いかにも大団円〜な展開が読んでて心地よかったです。
あ、この人ってあの時出てきたあの人の関係者なんだ〜!とか
この人、こんな形でまた登場しちゃってる〜みたいな。
昔、こういう人たちがいたからこそ、今の僕らがいる、そんな気分にさせてくれるいいお話でした。
人って何らかの形で繋がって続いていくもんなんですねー。
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【感想】
子育て真っ最中の2人の夫婦のお話。
子供が出てきてー育児の話が出てきてー、これってほんとに辻村さん?って思ってしまったんですが…
しっかりミステリになっていて安心しました(笑)
ただ、育児ネタでもちゃんとミステリやってるって辻村さんらしくていいですねー。
育児なんて自分には縁がないのっで、全く知らなかったことだらけですが…
保活とかママ友とか子育てとか親との教育方針の違いとか、いろいろ面倒なことが多そうで大変だなーって思ってしまったお話でした。。。
以下、印象的だったお話の感想です。
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☆お受験の城
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小学校受験のお話。
これまた自分には全く縁のない話ではあるんですが…
少しでもいいところに入るために、幼稚園児の頃から頑張って…
ってやってる人ってたくさんいるんですね。。。
子供のうちくらい伸び伸び育てて欲しいなーなんて思うんですが…
小学校受験、子供も大人もすごく大変そうだなーと思ってしまったお話でした。
あ、そうそう、これのミステリネタですが…
昔の同級生がママ友からハブられているっぽい。何故?って感じのお話だったんですが…
ママ友の人間関係…仲間であると同時に受験の敵ってなるのはなかなかシビアだなーって感じでした。。。
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☆秘密のない夫婦
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とある事情を巡って親子で対立をする話。
まぁ実の母親も義理の母親も、どちらも昔に母親を経験したベテランなわけで
いろいろ口出しをしたくなるのもわからなくもないんですが…
ここに出てくるお母さん、ものすごーくウザっ!って感じで不快でした。。。
自分が全て正しい。
孫のためを思って言ってるのに。
自分を正当化して、息子や娘の考え方は間違ってると決めつける。
こんな人、身近にいたらキレそうなお話でした(^_^;)
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【あらすじ】
親子3人仲良く暮らす栗原家に、ある日突然、女が訪れた。彼女は自分たちの息子の実の母親であり、息子を返して欲しいのだという。確かに、息子は養子であり、母親が別にいるのは事実であったが、彼女がその母親とはとても思えず…
【感想】
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☆子供ができるってやっぱり奇跡なのかなと
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簡単に言っちゃうと、養子をもらった家族のお話ですね。
養子をもらうってことは、すなわち、子供ができなかったけれども、子供が欲しいと思っている夫婦のお話ってことで…
特に何にも苦労もしないまま、子供ができちゃう人がいる一方で…
頑張って頑張って頑張って頑張っても子供ができない人もいるんだなーってのを改めて実感しました。
特にそうしたい気分じゃないのに、「子供をつくるため」だけにそういう行為をしなきゃいけないってのもなかなか大変ですよね。。。
病院に通うとなると、それはそれでかなりのお金がかかるし、痛い思いもしなきゃいけないし。
自分はあんまりよくわかんないですが…
子供を作りたくても作れないってことが、すごい悩みのタネになるんだなーってのを感じました。。。
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☆養子は普通じゃない…
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あと、養子をもらうにあたって「普通の家庭の子がいい」みたいな話が出てくるんですが…
養子にくるのに普通の家庭の子はいないってのは印象的でした・・・。
まぁ確かに「普通の家庭の子」ならば養子に出す必要がないわけで…
その家庭で育てられないからこそ養子に出すわけですもんね。。。
父親が誰だかわからないまま生まれてくることになってしまった子、
母親が幼すぎて育てることができない子、
望まれないまま生まれてきてしまう子、
そういう子が養子に出されてくるわけなんですね。。。
子供に親は選べないので、せめて養子に行った先では幸せになって欲しいなーと感じてしまったお話でした。
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