映画と本の備忘ログ

映画・本・テレビなどの個人的な感想などを載せてます。
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読書記録「絶唱(湊かなえ)」

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評価:
湊 かなえ
新潮社
¥ 1,512

【感想】

トンガを舞台にした、湊かなえさんの連作短編集ですね。

 

タイトルの「絶唱」の意味がわからず、悲鳴でも上げてるのかと思ったので(それは絶叫ですね(^_^;))

 

イヤミス系なのかなーと思ってたんですが、意外とそんな感じでもない感じでしたね。

 

ただ、登場人物たちのベースに「地震」があるようなので、若干重い雰囲気だなーって感じたお話でした。。。

 

 

以下、印象的だったお話の感想です。

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☆楽園

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地震で双子の姉妹を亡くしてしまった女性の話。

 

ある日突然トンガにある「楽園」に行きたくなって、誰にも告げずに行ってしまうんですが…

 

いろんなものに縛られて、「本当の自分」を出せない日々日常に嫌気がさしたのなら

 

誰も知ってる人がいない異国の地に行けば「本当の自分」になれるって思う気持ちもわからなくはないですね。。。

 

まぁこの主人公の場合はかなり特殊な事情を抱えていたってのもあるんですが…

 

誰にも告げずに突然いなくなられると、周りの人間は非情に心配するので、迷惑な話だよなーと思ってしまったお話でした。。。

 

 

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☆絶唱

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震災時の行動に後悔している女性の話。

 

なんとか自分は生き残ったものの、やっぱり当時被災地に住んでいたとしたら、身近な人が亡くなっていてもおかしくないですよね。

 

で、自分は生き残ったのにあの子は死んでしまった、あの時ああしていれば…みたいな後悔したり。

 

生き残ったことは素晴らしいことだし、自分を責める必要はまったくないんだろうけれども…

 

まるで罰を受けなければならないかのように生きていかなければならないってのはなんかつらいなぁって感じたお話でした。

 

あと、偽善ってわけではないんだろうけど、直接被災したわけじゃない人たちが、被災者はこうだからこうするべき!みたいに勝手に決めつけるのもどうかと思っちゃいますね。。。

 

いらない千羽鶴ともらって喜んだり、いらない心のケアなんて受けたくはないですよね。やっぱり。

 

(まぁそれで救われる人もいないことはないんでしょうけど…)

 

 

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読書記録「物語のおわり(湊かなえ)」

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評価:
湊 かなえ
朝日新聞出版
¥ 1,512

【感想】
とある女性が書いた短編小説が、旅人の間を巡り巡っていく、というお話ですね。

ごくごく普通の小説が、見知らぬ旅人同士の間でどんどん手渡されていくっていうのもなかなかロマンチックでいいなーって感じだったんですが…

受け取った読み手がそれぞれ自分の解釈をして読み進めていくってところがまた興味深くて面白かったです。

そもそも同じ旅人とはいえ、普段は職業も置かれている立場も人それぞれ全く違いますもんね。

主人公に自分を重ねあわせて共感する人もいれば、全く共感できない人もいる。

旅と小説、一見すると全く関係なさそうなこのふたつが紡ぐ物語が、なんだか素敵だなーと感じた作品でした。


以下、印象的だったお話の感想です。
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☆花咲く丘
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カメラマンになるという夢を諦め、実家を継ぐことにした男のお話。

小さいころから写真を撮ることが上手く、褒められ続けた男。

でも、家庭の事情で泣く泣く夢を諦めなければならなくなってしまったとしたら…

なかなか複雑な気持ちを抱くことは間違いなさそうですよね。。。

そして、そんな時、旅先で手に入れた、自分と似た境遇に遭遇した少女の物語。

彼がどんな感想を抱くのか、興味深く読めたお話でした。


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☆ワインディング・ロード
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上から目線の彼氏と別れたばかりの女子大生のお話。

頑張って小説を書いてはダメ出しばかり。

頑張ってテレビ局の内定をもらっても、おめでとうの一言もない。

そういう本人は、小説家を目指すとかいいつつ大学を留年している身…。

なんか、こういう他人を否定してばかりのやつってむかつきますね。

実績が伴ってるならまだしも、なんにも持ってないのならばなおのこと。

嫉妬めいてうざい彼氏とは裏腹に、前向きな彼女に好感が持てた作品でした。
 
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読書記録「高校入試(湊かなえ)」

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 【あらすじ】
県下有数の進学校、橘第一高等学校。そこは、毎年東大合格者も数人排出している名門校でなのだが、そんな橘第一高校の教室の黒板ににとある脅迫文が貼りだされた。「入試をぶっつぶす」入試も間近に迫った今、教師たちはなにかのいたずらだろうと考えるのであったが、何かが起こるのではないかと一抹の不安も覚えるのであった…。


【感想】
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☆高校入試の裏側…
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「入試をぶっつぶす」と予告され、入試当日に次々に事件が起こる…って話ですね。

僕は学校関係者じゃないので、入試の日に学校の先生達がどんな苦労してたのかは全然想像もしたことがなかったんですが…

教師のミスが生徒の一生を左右してしまうかもしれない!

なんて考えると、試験の準備とか監督とか採点とかする教師たちのプレッシャーはものすごいんだろうなーってのを感じました。

学校の先生もなかなか大変ですよね。


で、その中でも特に大変だなーって思ったのが…やっぱり採点の部分ですよね。

コンピュータで自動的に一斉採点…なら楽でいいんでしょうけど、入試は筆記試験だから、教師が1問1問答えを確認しながら採点をしなきゃいけなくて、

しかも、記号問題ならまだしも、記述式だと、答えがあっているのかどうかを教師自身が考えながら採点しなきゃいけなくて。

教師だって人間だから採点ミスもするだろうし、記述式だとどれが○でどれが△かなんて…判断基準がすごく難しそうなので頭の痛くなりそうな作業だなーってのを感じました。(^_^;)

1点の違いが生徒の一生を左右してしまうことになるかもしれないので、いい加減に採点するわけにはいかないですが、改めてしんどそうな作業ではありますよね。

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☆携帯電話問題…
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あと、ちょっとネタバレではありますが、試験中に「携帯電話が鳴ってしまった」場合の対処ってのもなかなか難しいなーって感じました。

「携帯電話が鳴る」=「不正行為」とみなして、その受験生の試験を終了させるのか、はたまた無罪と判断して試験を続行させるのか。とか、

また、携帯電話が鳴ってしまったことにより、うるさくて試験に集中できなかった!のを考慮して試験の点数を数点加算するのか、しないのかとか。

さらには、携帯電話問題に応じてクレームを言ってきた親の言いなりになるのかならないのか。とか。

最近は昔にはなかった携帯電話とかモンスターペアレントとか面倒くさい事柄がますます増えていて、ますます大変なのかなってのを感じました(^_^;)

ちなみに、事件ってのはこれだけじゃなくてこれ以上のことも次々に起こっていくんですが…

こんなこと実際にされたら受験生にしろ、教師にしろたまったもんじゃないなって思いました(^_^;)

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読書記録「望郷(湊かなえ)」

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評価:
湊 かなえ
文藝春秋
¥ 1,470

 【感想】
湊かなえさんが贈る「故郷」を描いた短篇集ですね。

瀬戸内の田舎小島にある「故郷」

今はそこを出ていってしまった人たちが「故郷」に帰ってきてっていう話が多かったんですが…

全体的に「故郷」の人たちが嫌な人!って感じに描かれてたのが印象的でした。

もちろん田舎だからっていい人ばっかり!とは限らないですが、あんまり田舎のダークな面が強調されるのもうんざりしますね(^_^;)

でも、そんなこんなでも読ませてしまうあたり湊さんさすがだなって思います。

なんだかんだでも結局面白かったです(^_^;)



以下、印象的だった短編です。
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☆みかんの花
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学生時代、執拗ないじめを受け、学校を中退し、東京に一人出て行った姉が「故郷」に帰ってくるという話。

跡取りのこととか、母のこととか全部自分に押し付けて突然いなくなってしまって全然帰らなかったくせに今更帰ってくるなんて!

自分も東京に行ってみたかったりしたのに、姉のせいで全部めちゃくちゃになってしまった!

そんな鬱屈した気持ちを抱え込んだまま何十年も経過してしまった妹。

そんな妹の姉に対するイライラ感がなんかちょっと可哀想でした。

まぁそんなのは「家」に縛られた人じゃないとわからないのかもしれませんが…

「故郷」や「家」にいろいろしがらみがあって、そこから逃れられないのだとしたら、色々不満は溜まりそうではありますね(^_^;)

あと、姉が出て行った真相に関しては、思ったより意外な理由で、ちょっとゾッとしました(^_^;)


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☆雲の糸
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学生時代、いじめを受けていた少年が、有名な歌手になって、地元のパーティに招待されて…というお話。

地元にいい思い出がなくてそんなパーティには参加したくなかったのに、地元に残る母の顔を立てるために参加しなくてはならなくなってしまった彼。

いじめてた張本人には親友づらされ、CDも買ってくれていないにわかファンには手書きのサインを強要され、歌を歌えば何を歌ってるのかわからないと言われる始末。

なんかすげーイラつく連中のオンパレードで読んでてかなりむかついてました(^_^;)

まぁこれは田舎の知り合いに限ったことじゃないんでしょうけど、少し有名になったからっていって手のひら返したように接してくる連中にはうんざりしますね(^_^;)

最後に登場する、息子を思う母の気持ちにはちょっとぐっとくるものがあったんですが、読んでてなかなかイライラする作品でした(^_^;)



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読書記録「母性(湊かなえ)」

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評価:
湊 かなえ
新潮社
¥ 1,470

 【あらすじ】
ある日、とある女子高生が自殺未遂を図った。まじめでクラスメイトからの信頼もあつく、特に悩んでいる様子もなかったという。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて…」と母親は言葉を詰まらせるのであったが…。

【感想】
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☆母性のない母とその娘
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娘を愛することができない母親と、母親に愛されたいのに愛されない娘の話ですね。

湊かなえさん、結構ダークな作品が多いかと思いますが…この作品も見事なまでにダークでした。。。

「母性がない母親」っていうのが実際に存在するのかどうかはよくわかりませんが(虐待のニュースとか見聞きするので実際にもいるんでしょうね)

子供を愛することができない母親に育てられた子供っていうのはやっぱり悲劇なんだろうなぁってのをすごく感じました。


私が今こんなに不幸なのはアンタのせい!

私はこんなに頑張ってるのにアンタはいつも私の邪魔ばかりする!

アンタは私の大事なものをいつも奪っていく!

アンタさえいなければ!アンタさえいなければ!!


母親に愛されたいと思って、母親のためを思って何かをしてるのに、結果的には母親を余計苦しめてしまう娘。

母親のことは決して嫌いじゃないし、幸せになってほしいと思ってるのに、自分がいるせいで幸せになれないと思ってしまう娘。

そんな娘が自殺未遂を起こしたところから物語が始まって、なんで家族がこんなになってしまったのかが語られていくんですが...

娘があまりに不憫すぎて読んでいて悲しくなってきました。。。


せめて母親がダメダメでも、他の家族がまともならまだ少しは救いようがあるんですけどね。

母親に加えて、祖父母に父親、叔母、従兄弟まで含めてロクデナシの家族。ほんと、酷い家族だなぁって感じでした。。。



でも、評価の方はというと、ダークでなかなか読むのツラかったんですが…

湊かなえさんだけあって、読み応えがあって面白かったという印象でした(^_^;)

こういう作品を面白かった!というのはなんか違う気もするんですが‥

湊かなえさんが好きなら読んでみてもいいんじゃないかなって思います。

ただ、重いので元気があるときに読むのをオススメします。。。
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読書記録「白ゆき姫殺人事件(湊かなえ)」

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 【あらすじ】
大ヒット中の石鹸「白ゆき」の化粧品会社で殺人事件が発生した。被害者の容姿が美しかったこの事件は、やがて「白ゆき姫殺人事件」とネットや雑誌で話題になり、うわさ話が盛り上がっていくのであったが…


【感想】
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☆こわーい噂話
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とある殺人事件の容疑者になってしまった女性が、いたるところで噂になり、波紋が広がっていく…っていう話ですね。

あの人がこんな事件を起こすなんて信じられない!

でもあの人とあの人って仲悪かったでしょー?

実は性格も悪かったのよねー。実はね…

そうそう、私もこんなこと聞いたことあるのよー。

しかも子どもの頃からこんなことしてたらしいのよー。

親もこんなんで、祖母なんてこんなことまでしてた人らしいのよー。


↑ほぼ適当に書いたんですが、こんな会話が延々と続く話ですね(^_^;)

職場の同僚やら、友人やら、昔の同級生やら、近所のおじさんおばさんやら…

普段は別にその人のことなんて大して気にもとめていなかったくせに、何かあるとどわぁーーっと拡散するうわさ話。

あることないこと言われて、雑誌に書かれてネットに載せられて、次第にどんどん話が膨らんで、どんだけ性悪女だよ!って感じになっていったのがなかなか怖かったです。。。

しかも、昔なら、人と人との「口伝い」でしかなかったものが、今では「ネット」っていうものがありますからね。

何かの「容疑者」になんてなろうものなら、あっというまに名前やら住所やら顔写真やらブログやSNSの日記やらが発掘されて、瞬く間に日本中、あるいは世界中に広まってしまう。。。

まぁその「うわさ話」が真実ならばある程度仕方ない面もあるのかもしれないですが…全く無関係な話だったらたまったもんじゃないなぁってのを感じました(^_^;)

怖いですねぇ。インターネットの世界って。

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☆名前負けする名前…
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あと、この作品の「容疑者」の名前…「城野美姫」って言うんですが…

超絶美人な女の子ならともかく、普通の女の子だったらこんな名前嫌ですよね(^_^;)

お城に住んでる美しいお姫様なんて名前…絶対名前負けしちゃいますもん。。。

まぁ親にとっては、自分の娘は世界一かわいいお姫様だから間違ってない!!って言えるのかもしれないですが…

「お前ってお城の美しい姫って名前のくせにブスだよなー!」とか言われていじめられちゃいそうですよね。。。

ある意味この名前のせいでこんな目にあってしまったような感じがする彼女。

これは小説ではありますが、実際に名前がその人の人生を変えちゃうこともきっとあるんだろうなぁってのを感じました。。。



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読書記録「サファイア(湊かなえ)」

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評価:
湊 かなえ
角川春樹事務所
¥ 1,575

 【感想】
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☆世の中嫌な奴って多いよね…と思いつつ
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湊かなえさんの短篇集なんですが...

冒頭から読み始めて、相変わらず性格の悪い女が出てくる話だなって思って読んでました(^_^;)

他人を蹴落として自分だけ得をしようとする女だとか、他人の悪事を誰かに告げ口して喜ぶ女だとか、男を騙して金をむしりとろうとする女だとか。

湊作品なので相変わらず重いんだろうな…って感じはしてたんですが…ちょっと最初は読むのがしんどかったです(^_^;)

が!全部が全部読後感の悪い嫌〜な話ってわけじゃなかったのでそこんところは良かったですね。

いくつか読後感が良かった話もあったので、それだけ感想を残しておきます。

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☆ムーンストーン
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授業中の本読みの時間にクラスメイトに笑われたことがきっかけで、あがり症になり、みんなからどんどん孤立していって、やがてはいじめられるようになってしまった女の子の話ですね。

いじめの話なので、最初はやっぱり重〜い感じがして読むのが辛かったんですが…

そんな彼女にも救世主が!!って展開だったので読後感はなかなか良かったです。

長い間友達がいなくて、友達とどう接すればいいのかわからなくて、会話もまともにできないようなそんな性格になってしまった主人公。

でも、そんな状態からちょっとずつ友達ができて、明るくなって、自分に自信が持てるようになっていく様はなかなかステキでした(^^)

ドロドログチャグチャ〜な展開よりはやっぱり前向きな展開な方が読んでて気持ちがいいですよね(^^)

まぁ湊作品なので一筋縄ではいかない終わり方ではあるんですが、なかなか好きなお話でした。

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☆サファイア&ガーネット
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人との距離の取り方がわからず、一人でいるのが好きな女の子が、運命の彼に出会って変わり始める…って話ですね。

こちらも、地味な女の子が恋をして変わっていく〜って話なので、前向きな感じが結構好きでした(^^)

恋をしてると性格が明るくなったり、気分が前向きになったりしますもんね。

ちょっと奥手なんだけど、初々しい感じの2人の男女。そんな彼らが微笑ましくてなかなか良かったです。

が!こちらもさすが湊作品なだけあってそのままじゃ終わらないんですよね(^_^;)

途中彼らの前には前途多難な暴風雨が吹き荒れて、まさかのドロドログチャグチャ〜な展開に(T_T)

思わず、こういうのはハッピーエンドにしようよ〜って思わずにはいられない展開が切なかったです(T_T)

ただ、ラストはさすが湊さんだなーって感じの終わり方だったので、それはそれで結構好きでした。

まぁ小説の中での話ではあるんですが、人の運命って面白いなーって思っちゃいますね。

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小説「境遇(湊かなえ)」

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評価:
湊 かなえ
双葉社
¥ 1,470

 【あらすじ】
デビュー作の絵本が話題になり、ベストセラーとなった高倉陽子。彼女は、県議員議員の妻でもあり、幸せいっぱいな日々を送っているのかと思いきや、突然、彼女の息子が誘拐されるという事態が発生した。返して欲しくば、真実を公表しろと言う。選挙も近いことから、事務所の不正を告白しろということなのかと思った陽子であったが、もしかすると、自分の過去を告白せよということなのかもしれないと思うのであった…。

【感想】
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☆境遇
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似たような「境遇」に育った親友同士のふたりが、協力し合って誘拐事件の謎を解いていく…って話なんですが…

なんか悪い意味で「湊作品っぽくない」作品でした(^^;

今までの作品って結構ダークでドロドロしていながらも、心理描写とか奥深くて、結構共感できる部分も多かったんですが...

今作は、こいつ性格悪いなーってやつは色々と出てきたりはするものの、あんまり共感できないんですよね(^^;

人物描写がちょっと薄っぺらな感じがしたので物足りなかったです(^^;


あと、湊作品っていうと、ドンデン返しがすごい!ってイメージがあるんですが…

肝心のドンデン返しもイマイチでした(^^;

結構なペースで新作を出し続けているので、ちょっとネタ切れ状態なんですかねー?

なんかちょっと残念な感じが強かった作品でした(^^;


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小説「花の鎖(湊かなえ)」

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評価:
湊 かなえ
文藝春秋
¥ 1,400

【あらすじ】
 両親を事故で亡くした梨花は、英会話スクールの講師として働きながら、祖母と2人で仲良く暮らしていたのであったが、ある日、心の支えてあった祖母が倒れ、さらには、梨花が勤める英会話スクールが経営破たんをするという事態に陥ってしまった。祖母の病気を治すには、手術をせねばならず、それには多額のお金が必要になるのだという。無職になり、お金に不自由な状態になってしまった梨花は、やむを得ず、昔両親が事故死した際に、援助を申し出てくれた「K」という人物に、お金の融通をできないかどうか頼んで見ることにしたのであったが…。

【感想】
 「湊かなえのセカンドステージ始動!」って帯に書いてあったんですが…確かに今までの作品とはだいぶ作風が違う感じですね。

 暗い感じの雰囲気でもないし、ドロドロした展開でもないし(でもちょっとドロドロしてるかな?)、人と人との愛情とか運命とかそういうのが感じられるような作品で、なんかちょっとほんわかするような雰囲気がよかったと思います。

 
 ストーリーとしては、3人の若い女性が主人公で、みんな同じ街が出身で、3人の視点が順番に入れ替わるような形で進んでいくような話なので、同じお店とか人が頻繁に出てきて、あれ?これって誰のエピソードだっけ?って思ってしまうこともしばしばあったりしたんですが、最後まで読んで見ると、3人のリンクのし具合が妙に心地よく感じたし、Kの正体とか、色々な真相とかもなるほどなーって感じでよくまとまっていたので面白かったです。

 まぁ色々とヒントは隠されているので、最後まで読まなくても真相には気づく人も多いかと思いますが、真相に気づくと作品の世界観が結構ガラッと変わると思うので、1回最後まで読んでからもう1回最初から読んでみると、また違った視点で楽しめるような気がします。あの人がここでこうしたのは、ああだったからなんだなぁ・・・みたいな(笑)

 湊さんもどんどん面白い本を出してきますね。これからも要チェックな気がします。

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小説「往復書簡」

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評価:
湊 かなえ
幻冬舎
¥ 1,470

 【あらすじ】
 友人の結婚式がきっかけで10年ぶりに再会した高校時代の放送部のメンバーたち。だが、一人だけ欠席者がいた。その一人である千秋は、5年前のとある事故以降連絡が途絶えがちになり、現在では消息不明になっているらしい。もともとは今回の結婚式の新郎である浩一と付き合っていたはずの千秋。彼女と浩一、そして、新婦である静香の3人の間に一体なにがあったのか。長い間日本を留守にし、全く事情を知らなかった悦子は、友人のあずみに手紙を送り、真相を確かめることにしたのだったが…。
 
【感想】
 「手紙」を通じてやり取りをすることにより、ちょっとずつ謎が明らかになっていくというタイプの短編集です。「手紙」ってところがミソなんでしょうね。面と向かって話したり、電話とかメールでテンポよくやりとりしたりのとは違って、感情的になったりしないし、それが嘘なのか真実なのかってのは文章だけなので見分けが付きにくい。さらには、すぐに返事が返ってくるわけではなくて、やりとりに数日のタイムラグがあるから、その間に状況が変化している場合もある。手紙のやり取りだけで物語が成り立つのかなーって最初はちょっと思ったりもしたんですが、想像以上に奥が深くて面白かったです。
 
 あと、この本の良かったところは、同じ事件とか同じ人物のことを色んな人が語っているのに、その印象が人によって全然違うってところです。A先生は、Bさんにとってはいい先生なのに、Cさんにとっては思い出したくもない先生。ある事件についても、Bさんにとっては、単なる悲しい事件でしかないのに対して、Cさんにとっては、今でもトラウマになっているくらい引きずっている重い事件。見えてくる姿が人によって全然違うので、ある片方からしか物事を見ていないと、真実は見えてこないんだなってことを感じました。

 個人的にはこの作品は「告白」に次ぐくらい面白かったんじゃないかなって思います。読後感も今までの作品とは違ってあんまり後味が悪いわけでもないので、今までの湊作品みたいなドロドロしたやつはちょっとなーって人にもオススメしたい良作だと思います。面白かったです!

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本 【湊 かなえ】 | comments(0) | -
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