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評価:
窪 美澄
新潮社
¥ 1,470
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【あらすじ】 高校1年生の斉藤卓巳は、普通の高校生とはちょっと違う恋愛をしていた。とあるマンションの一室で、なんとかというアニメの登場人物の格好をし、あんずという主婦と数時間プレイを楽しむのだ。もちろん、それは不倫であり、あんずからお金をもらっている以上、犯罪なのではないかという認識もないこともなかったのであったが、卓巳もあんずのことが嫌いなわけではなく、なんとなく2人の関係は続いていたのであった…。
【感想】
物語の冒頭から、結構エロエロなシーンが出てきたりするので、もしかして官能小説みたいな感じ!?とちょっと戸惑ってしまったりもしたんですが、主人公の斉藤くんに降りかかる災厄がなんか可哀想で、いつのまにか物語に引き込まれてました(^^; やってることは結局のところ、人妻相手に不倫をしているわけで、ある意味では、彼に降りかかる災難は、むしろ自業自得だ…と思えなくもない面もあるんですが、いくらなんでもここまでしなくても…って思うくらいの酷い仕打ちをされてしまうので、やっぱり可哀想だなって思いました(^^; (どんな酷い仕打ちなのかは、本を読んでください(笑))
ただ、結局のところ、誰が一番悪いのかって言われると、誰だ!ってはっきりと断定できないところがもどかしい感じがしますね。人妻相手に不倫をしていた斉藤くんが悪い面もあるし、高校生をそそのかして快楽にふけっていたあんずが悪い面もある。ただ、そういう状態にあんずを追い込んでしまったあんずの旦那さんや義母が悪い…ともいえる。はたまた、友人のフリをして、斉藤くんを貶めているクラスメイトもなかなか許しがたい(笑)
愛とか恋とか性欲とか、夫婦とか嫁姑とか、友達とか嫉妬とか、人間の本来持っているドロドロした面が前面出てきているような作品でした。ちょっと元気があるときに読まないと、結構引きずられてしまいそうな感じのする作品ですね(^^; 下手をすると人間不信に陥ってしまいそうな感じもしなくもない作品ですので、興味のある方は元気なときに読んでください(笑)
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