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評価:
石田 衣良
角川書店
¥ 1,680
Amazonおすすめ度:
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5年3組の担任、中道良太、25歳。
彼は小学校の教師をしているが、学年内の評価はいつも最下位だった。
一方、同じ学年の担任をしている染谷龍一は、学年内の評価はいつも一位であった。
素朴で感情を表に出しやすい中道先生と、クールで理知的な染谷先生。
タイプは全く違う二人の教師であったが、年が近いこともあり、
やがて2人は親友となる。
そんな中、中道先生のクラスや、2人の勤める学校では次々と問題が起こる。
染谷先生の助けを借りつつ、中道先生は問題解決しようとするが…。
学校が舞台で、若い男性教師が主人公だということもあってか
2008年版の「坊っちゃん」だと言われて、
なかなか比べられることが多いと思われる本作ですが…
本家本元の坊っちゃんと比較しても決して劣ることない名作だと思います。
特に、ちょっと感動的なシーンが多いので、
涙もろい人はけっこう泣ける小説かもしれません。
(特に3章のリョウタ先生の行動にはジーンときます。
展開の描き方が上手すぎです!)
それから、2人の主人公の中道先生と染谷先生。
2人のキャラクターの描き方がすごく上手いです。
自分の感性で動くタイプと、頭で考えてから動くタイプ、
全く違う個性の2人がいるんですが、それぞれがすごく魅力的です。
そして、それぞれが違う性格で、得手不得手も違うんだから
どちらが正しいとか決め付けるんじゃなくて、
適材適所、自分の得意な方で自分らしくやればいい…
そんな趣旨が伝わってくるのでそれにはすごく共感しました。
また、主人公の中道先生の年齢が若いので、
単なる教育小説としてではなくて、青春小説としても読めますね。
なんかすごく初々しい雰囲気が醸し出されていて清々しい気分になります。
すごく面白かったので、ぜひシリーズ化して欲しい…そんな1冊でした。