|
評価:
西澤 保彦
祥伝社
¥ 870
Amazonおすすめ度:
|
【あらすじ】
大好きな杉本先生に「偶然」出会う為に、夏休みの間、毎日毎日
先生の実家の近くを「うろついて」いた女子高生真奈は、
「謎」に出会うと時間を止めてしまうという変な「癖」を持っている
末統一郎に巻き込まれ、止められた時間の中に閉じ込められてしまう。
そしてそんな止められた時間の中で待ちうけていたのは、
町の至るところで、「ナイフを刺された」状態で止まっている人々であった。
一体誰が、何故、どうやって複数の人物に同時にナイフを刺したのか。
2人は止められた時間を元に戻す為、事件の謎を解こうとするのだが・・・。
【感想】
西澤保彦さんの本は、以前に、死んだはずの人間が何度も生き返るという
「7回死んだ男」と、人間の中身が入れ替わる「人格転移の殺人」の2冊を
読んだことがあって、どちらもSFにミステリを融合したような
ユニークな設定で面白かったんですが、今回の
「ナイフが町に降ってくる」も、「時間が止まる」といった
SF風な設定に加えて連続殺人事件が発生するという
ミステリな要素が加わっていて面白かったです。
また、作中のほとんどで、時間が「止まって」いるので、
登場人物自体は色々と登場するのですが、
それぞれがみんな「止まって」いるだけで、
自由に動き回れるのは「真奈」と「統一郎」の2人だけ。
そんな中で、まるでラブコメというか漫才のようなノリで
無茶苦茶な行動を繰り返す2人がすごく面白かったです。
(けっこうツボにはまってしまったので、電車の中で
笑いをこらえるのが辛かったですね^^;
もちろん、時間が止まったらやってみたい人も多いであろう
ちょっとしたいたずら(?)も真奈ちゃんはやっちゃってます(笑))
そんな女子高生の真奈が主人公ってせいも大きいと思うんですが、
前に読んだ2作とはかなり雰囲気が違っていたので
こういうコメディタッチな作品も書ける人なんだなーってちょっと意外でした。
あと、ラストのオチの部分は・・・まぁある程度予測はできてたものの、
やや反則かなぁって感じがしなくもないですね^^;
でも、ミステリの要素云々よりも作品としてはかなり楽しめたので
僕にとってはけっこうお気に入りな1作ですね。