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評価:
辻村 深月
講談社
¥ 680
Amazonおすすめ度:
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【あらすじ】
人気脚本家の赤羽環がオーナーを務めるアパート・スロウハイツ。そこには、人気作家でもあるチヨダコーキをはじめ、画家の卵、漫画家の卵、映画監督の卵といった芸術家たちが共同生活を送っていた。元々皆環の友達ということもあり、平和な日々を過ごしていたのだったが、それぞれ微妙な変化が訪れはじめていたのだった。
【感想】
アパートの住人たちの話だったので、けっこうアットホームな雰囲気の作品なのかと思ったら、やっぱり辻村深月さんらしく、けっこうリアルな人間関係を描いた作品でした。表面上は上手くいってるように見えても、本心はといったら心から上手くいってるかといわれると、愛情やら友情やら優越感やら劣等感やら色々な感情が絡み合って、我慢して、上手くいってるように見せかけることってのも結構あったりすると思います。そういった心の動きとか葛藤とか上手く描けてたような気がします。
ただ、女性陣の心の動きについてはほんと上手いなぁって思うんですが、逆に男性陣の方はちょっと違和感を感じてしまいました^^;なんかこの作品に関しては、出てくる男性陣が、少女漫画に出てくるようなカッコいい男になっちゃってるんですよね〜。妙に物分りがいいというか大人というか…。自分が情けないから大人な男性に違和感を感じるのかもしれませんが…なんか違うかなーって思ってしまいました^^;
あと、この作品は、淡々と物語が進んでいくのでミステリじゃないのかなーって思ってたんですが…最後まで読むと色んなことの真相が判明して面白かったです。あの人があの時ああいったのはこういう理由があったんだなーとか、あの時あそこにあれがあったのは、あの人がああしたからなんだなーとか、些細なことですが、裏の事情が明らかになった時にはちょっと感動しました。ラストはけっこういい話でした。