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評価:
架神 恭介,辰巳 一世
筑摩書房
¥ 819
Amazonおすすめ度:
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【あらすじ】
時は2002年。目立小学校5年3組では、多数のグループが乱立し、それぞれが自分がクラスを支配するんだという野望に燃えていた。当然の如く、それぞれのグループは、他グループを吸収しようとして策略を巡らし、それぞれの勢力拡大に努めていったので、リーダー(君主)としての器のない者、他者の罠に嵌りリーダー(君主)としての地位を放棄せざるを得なくなった者などは、次々と強大なグループへと吸収されていったのだった。そして、最終的には2大勢力へと収束していくのであったが、最終的にクラス全体を支配下におさめるのは一体だれであろうか…。
【感想】
マキャベリの「君主論」を無理矢理小学校のクラスに当てはめているので、設定とか内容とか登場人物とか、かなり無理がある感じに仕上がっているんですが、読んでみるとそれはそれですごく面白かったです。こんな小学生いねーよ!ってツッコミは最もだと思うんですが、なんかすごく良く出来てますね。(特に、登場人物のイラストなんかは小学生に見えるキャラクターは一人もいないので、ツッコミどころ満載ですごいです。でも、登場人物が40人もいるので、個性を強調させて、他のキャラと区別さないとわけわかんなくなるので、ある程度は仕方ないのかなって思いますね^^;)
グループとグループがぶつかって、策略を巡らしたり、部下を引き抜いたりして勢力拡大を図るって話なので、「信長の野望」とか「三国志」とかああいった系のゲームが好きな人には楽しめる要素が詰まってるんじゃないかなって思います。要はそれの小学生版なので。
楽しく「君主論」が学べるいい本だと思うので、これをきっかけに本物の「君主論」の方も機会があったら読んでみたいですね。
【メモ】
・世襲の君主政体を統治する方法
⇒前君主の方針は変えない。変えると、今まで満足していた人に不満がたまる。
・新しく獲得した領地の統治法
⇒文化や風習が自分達と似ている場合は、前君主を徹底的につぶすだけでよい。似ていない場合には、文化や風習を相手に合わせていく必要がある。
・支配地での反乱
⇒元君主が絶対的に信頼されていた場合は、その元君主を徹底的につぶす。元君主が絶対的ではなく、地域毎に「封建諸侯」がいるような場合には、内部分裂を起こさせるのは簡単だが、統治は難しい。
・他者の軍備と運命で君主になった場合
⇒本当の実力者次第で権力が失墜する。
・極悪非道の正しい使い方
⇒政権を奪い取る為の悪行は最初にまとめて行い、その後は極悪非道は行わない。
・市民による君主体制について
⇒大多数の平民が支持する君主に、有力者もなびく。
・傭兵について
⇒君主に忠誠を誓ったわけではない傭兵は本気で命がけで戦わない。
・援軍について
⇒援軍を差し向けた君主次第で裏切られる可能性がある。
・君主が褒められたり貶されたりすることについて
⇒政権を守る為に甘んじて受けなければならない悪評ならば、悪評を受けることを恐れてはいけない。
・気前のよさとケチ
⇒気前を良くしていると、それを辞めたときにケチだと思われる。
・市民を歩兵にすることについて
⇒責任ある立場にすることで、市民は君主に信頼されていると感じ、忠義を誓うようになる
・分断工作について
⇒平和なときであれば、自分の地位を脅かす者同士を争わせることは吉。しかし、戦時では、片方が裏切る危険性を秘める。
・同盟と中立
⇒中立ではいない方がよい。勝手も負けても、相手は恩義を感じてくれる。
・有能な側近から適切な助言を得るためには
⇒全員から意見を求めるのではなく、少数の賢者からのみ意見を聞く。