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評価:
辻村 深月
講談社
¥ 1,470
Amazonおすすめ度:
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【あらすじ】
クラスメイトが突然の自殺を遂げ、ショックを受けた依田いつかは、ある日、何故か自分がそのクラスメイトが自殺を遂げる3ヶ月前の世界へとタイムスリップしていることに気づく。こうなってしまったからには、そのクラスメイトの自殺を食い止めたい。そう彼は考えたのであったが、そんな彼の行為を妨害するかのように、彼の記憶からは肝心の自殺をしたクラスメイトの名前がすっぽりと抜け落ちてしまっていたのであった。
困り果てたいつかは、不審に思われることは承知の上で、同級生の坂崎あすなや親友の長尾秀人に相談し、協力してもらうことにしたのであったが…。
【感想】
まず、この作品の感想を一言で言うと、読後感が最高!です。ミステリなので、最後まで読んで謎が解けてスッキリした!っていう快感もあるんですが、それ以上に作品の雰囲気が良かったです。仲間の為に必死になることができる素直でひたむきな登場人物が多くて、暖かい感じのエピソードが多いので、心が打たれるシーンがたくさんあるんですよね。この著者の他の作品でよくあるような殺人事件とかも発生しないので、そういうのが苦手な人も読みやすい作品だと思いました。
イマドキこんなやついねーだろ!って思えるくらいストレートでいいやつが集まってるので、若干嘘臭さも感じたりもしますが、小説の中でくらいこれくらい清々しい登場人物ばっかり出てくる小説ってのもたまにはいいんじゃないかと思います。
ミステリとしては、最後まで読んでみて前を振り返ってみると結構ボロが出そうな感じなので、ツッコミどころは満載になりそうな気がしなくもないっていう点はあるんですが、それ以上に読後感は良かったので、学園モノとかそういうのが好きな人には結構オススメな作品です。
あと、辻村作品は、他の作品と色々リンクしてたりするのが面白い部分であったりするんですが、この作品も他の作品とリンクしているので、この作品を読む前に読んでおいた方がいい作品が存在します。読んでないまま読むと、最後の最後で「???」な状態になってしまう可能性が高いので、「ぼくのメジャースプーン」と「凍りのくじら」はだけは先に読んでおくことをオススメします^^;