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評価:
畠中 恵
講談社
¥ 580
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【あらすじ】江戸時代が終わり、新たに明治の時代が幕を開けた頃、「東京」に一軒の洋菓子屋・風琴屋が誕生した。居留地で孤児として育ち、菓子作りを学んだ皆川真次郎という男性が、店を開いたのだ。物珍しい洋菓子屋に、若い女性を始め、元幕臣である「若組様」と呼ばれる警官たちもやってくるようになるのであったが、それと同時に騒動に巻き込まれることも増えてくるのであった…。
【感想】
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☆明治なお話
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時代が明治になってから20年余が経過した時代が舞台の作品ですね。
もちろん、当時の時代を生きていた作家さんは、この時代を舞台にして作品を書いていたかと思うんですが…
そうじゃなくて、現代の作家さんが、あえてこの時代を舞台にしてる作品ってのは結構珍しいですよね。
なので、読んでいて世界観が結構斬新で面白いなーってのを感じました。
いくら時代が変わって「明治」っていう新しい時代になっても、それは江戸時代がから続いてるわけで、急に人もモノも全てが一気に新しくなるわけじゃないですもんねー。
新しい文化をどんどん受け入れつつ、でも江戸時代の名残も残ってるような、そんな「明治」な時代が印象的でした。
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☆お菓子な話
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で、タイトルに「アイスクリン」なんてついてるからわかるかと思うんですが…
明治時代のお菓子屋さんが主人公の話なんですよね。
なので、出てくるのが、「アイスクリン」に「ビスキット」に「チヨコレイト」に「シユウクリーム」。
現代の言い方と微妙に違うあたりが、なんか新鮮な感じで良かったです。
で、そんなこんなな洋菓子がいっぱい登場してくるこの作品なんですが…
作品の中身は、おいしそうな洋菓子を作って、食べて、事件が発生してーって感じなんですよねー。
なので、読んでると、だんだんそのお菓子が食べたくなってきちゃって困りました(笑)
しかも、親切なことに(?)文庫版には「西洋菓子帳」なんていう、お菓子の写真付きの冊子のおまけつきで・・・
あー、こんなお菓子作ってるんだなーなんてのを想像してしまって、ますます食べたくなるという悪循環に陥っちゃいました(笑)
甘いものが好きな人は、お腹空いてる時に読むのはあんまりオススメしないですね。
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☆ストーリーは…
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で、「明治」っていう世界観と、「お菓子」っていうアイテムはなかなか良かったんですが…
肝心のストーリーの方がちょっと物足りないのが残念でしたかね(^_^;)
若干ミステリっぽい感じではあるんですが、なんかいまいちぱっとしないというかなんというか…。
まぁこの世界観を楽しむべき作品なんだ!と思えばいいのかもしれないんですが、個人的にはちょっと物足りなさを感じました。