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評価:
乾 ルカ
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 620
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【感想】とある「てふてふ荘」というおんぼろアパートには、お化けが住んでいて…っていう話ですね。
お化けが出てくる〜っていうとなんか怖そうって思ってしまうかもしれないですが、ところがこの作品は、怖い!というよりは読んでてほのぼのするような感じだったので読後感が良かったです。
得体のしれないお化け〜だったりすると確かに怖いかもしれないですが、姿形がハッキリ見えて、普通に会話もできちゃったりするお化けだと、あんまり人間と変わらないから怖くないのかもしれないですね。
ちなみに、ここのお化けたち1部屋に1人(?)ずついて、それぞれの部屋の住人たちと同居(?)しているんですが、それぞれ個性的なメンツで読んでて楽しかったです。
陽気で一緒にお酒を飲んでくれたり、可愛くて元気をもらえたり、落ち込んでたらはげましてくれたり、そんなお化けだったら、身近なところにいてくれてもいいかなーなんてちょっと思ったりしました。
以下、印象的だった短編の感想です。
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☆一号室
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とある悩みを抱えた大学生がてふてふ荘に引っ越してきたら、部屋には可愛い女の子がいて…っていう話ですね。
冴えない大学生と、元気で可愛いお化け。
この設定だけでなんとなく話がわかっちゃうような気がしなくもないですが…うん。面白かったです。
落ち込んでる人を元気づけてあげられる、そんな人っていいですねー(正確には人じゃないけど(笑))
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☆三号室
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ムショ上がりの男性と、事故死してしまった女性タレントのお化けの話ですね。
こちらは、運の悪い男と女の話なんですが…あまりにも不運すぎてちょっと笑えました。
でも逆境にもめげずにがんばって…っていう展開だったので、読んでてなんか励まされました。
つらいときに身近に応援してくれる人がいるっていうのはいいですね。
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☆六号室
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イラストレーターの男性と小学生のお化けの話ですね。
で、この部屋の話だけ、お化けの小学生が男性を殺そうとしてくる!というちょっと他とは違った雰囲気だったんですが…
小学生のお化けがなぜこうなってしまったのかっていう真相はちょっと切ない真実でちょっと共感しちゃいました。
同居人を呪い殺す!っていうのは穏やかじゃないですが、なんとなくわからなくもなかったです。その気持ち。