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評価:
喜多 喜久
宝島社
¥ 680
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【あらすじ】東大農学部院生の浅野奈海。彼女は、2/14のに片思い中の彼にチョコレートを渡すつもりで必死に頑張っていたのであったが、当のバレンタインデー当日、彼女に待ち受けていたのは、彼の変死という悲痛な出来事であった。だが、そんな彼女を神様(?)は見捨てなかった。突如死神の名乗る謎の人物が現れ、10回だけ人生をやり直すチャンスをくれるというのだ。彼女は愛しの彼を助けるため、過去に戻ってやり直すことにしたのであったが…。
【感想】
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☆リプレイリプレイ!
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何故か死んでしまった片思いの彼を助けるため、『リプレイ』を繰り返すという話ですね。
普通の人生だったら『リプレイ』なんてできないので、あのときああしていればよかった!なんて後悔をするもんですが…
あそこがダメだったからリセットしてやりなおそう!な展開が、ちょっとゲームみたいでなんか面白かったです。
(何度もやり直せる感じが、「かまいたちの夜」とかのサウンドノベル風味ですね)
ただ、なんどやり直してもやり直してもバッドエンドに繋がってしまって…
運命の神様もなかなかひどいなーって思ってしまいました(笑)
例えば、彼がとある場所で鈍器で殴り殺されていたから、やり直した回では別の場所に連れて行ったら、今度は階段から転げ落ちて死んでしまったり。。。
はたまた、彼を軟禁状態にしてしまえば、死ぬことはないだろう!と思ったら、そのことが原因で別の人が死んでしまったり。。。
まぁ「ちょっとしたこと」がきっかけで他人の人生を左右してしまうことってきっとあるんだろうなってのは感じるんですが…
そのことがきっかけで起こりうる事象ががらっと変わってきてしまうと思うとなかなか不思議ですよねー。
自分のとった些細な行動もどこかで誰かに影響を与えてるのかなーとちょっと考えてしまいました。
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☆ベストな結末とはなにか
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あと、考えさせられたのはこれ。
ベストな結末とはなにか。
当然、彼女は彼を助けるために、「未来を変え」てしまうわけなんですが…
何が「ベスト」な結末なのか…っていうのはなかなか考えてみると難しいんですよね。
例えば、『片思いの彼』が助かる代わりに『自分の友人』が犠牲になってしまうとしたらどうするかとか。
たとえ彼が助かったとしても、別の誰かが犠牲になる結末を自分が選択しないといけなくなったら、それはそれでかなりつらいですよね。。。
最終的に彼女が選んだのはどれだったのかは、読んでみてくださいとしておきますが...
なかなか奥が深くて面白い作品でした。やっぱり喜多喜久さんいいです!
タイムスリップモノが苦手じゃなければオススメなのでぜひ読んでみてください(^^)