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評価:
友井 羊
宝島社
¥ 1,404
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【感想】
大震災が起きてしまって、大変なことになってしまった被災地に、ボランティアに行こう!というお話。
あの頃、被災地じゃなかったところに住んでた人たちは、きっと、被災地のために何かしてあげたい!
でも何にもしてあげられることがない!って歯がゆく思った人も多かったと思うんですが…
そんな、歯がゆい思いをしていた中、思い切ってボランティアに行こう!と手を上げた人のお話ですね。
みんなそれぞれ違った立場の人間なので、それぞれ違った思いを胸に抱きながら被災地に向かうことになるんですが…
良かれと思ってやったことが、被災地の人にはよくなかったり、逆に、なにをして欲しいと頼まれてるのに、何もしてあげられなかったりで
一概にボランティアに行けば被災地の人たちが喜ぶのかと行ったらそうでもないのかなーなんて感じられたのがちょっと複雑でした。
確かに、わざわざボランティアに行ってるのに、病気になったり怪我をして足手まといになったり、現地の支援物資をご馳走になってたら何しに行ったんだ!って感じになりますよね。。。
面白かったんですが、なんだかちょっと複雑な気分になった作品でした。
それから、いろんな登場人物が出てくるので、その人その人のお話もすっごく魅力的で面白かったんですが…
最後のどんでん返しには衝撃を受けました。。。
なんか読んでてちょっと違和感あるなーって部分がいくつかあったんですが、まさかこんな展開だったとは!!
思いがけない人と人との繋がりにちょっと感動。。。
フィクションと言えども、実際にこういうことも起こりえそうで、人の縁って不思議だなーって思いました。
以下、印象的だったお話の感想です。
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☆会社員 遠藤の場合
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子供の頃別れた母親が、被災地で亡くなったという男性の話ですね。
長い間ずっと会ってなかった母親。
きっとどこかで元気で暮らしているのだろうと思ってたのに、地震で亡くなったことを知ったら、ショックでしょうねぇ。。。
自分は何故今まで会いに行かなかったのか。ものすごく後悔しそうです。
ボランティアとして、母が暮らしていた街を訪れることになった彼の気持ち、なんだか切ないなーって感じでした。
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☆大学生 和麿の場合
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ボランティアしたいと思いつつ、いいのがないと思った大学生が、自分でバスをチャーターしてボランティアに行こう!っていうお話ですね。
きっと、何かしなきゃ!とはみんな思っていつつ何もできなかった人が大半かと思うボランティア。
探してみたけれども、よさ気なものがなかったから参加できなかった!って人もきっといるかと思うんですが…
なければ自分で企画すればいい!って主人公の行動力がものすごかったです。
自分でバスをチャーターして、支援先と交渉して、一緒に行く仲間を募集して、いざ行くと決まれば仲間たちの面倒を見つつ、トラブルが起これば自分がなんとかしなきゃいけない。。。
ボランティアに行く!ってだけでも大変なのに、何から何まで周りの面倒まで見なきゃいけない!ってのがなんかすごく大変そうでした。。。
でも、こういう人が頑張ってくれたからこそ、救われた!って人もきっとたくさんいたんでしょうね。
普段はちゃらんぽらんな大学生活を送ってても、いざ!っていうときにすごい行動力を発揮できる人、改めてすごいなって思いました。