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評価:
垣谷 美雨
双葉社
¥ 700
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【あらすじ】
専業主婦として繰り返される同じ毎日にうんざりしていた香山知子。SEとしてバリバリ仕事に励むものの結婚して子供を産むことができなかった思いを後ろめたく思う黒川薫。高校中退の為正社員になれず日々コンビニのバイトであくせくはたらく赤坂晴美。高校の同級生だった3人は、久しぶりに再会したことをきっかけに、とある居酒屋で飲むことにしたのであったが、何の気まぐれか、気が付くと3人は高校時代へとタイムスリップしてしまっていたのであった。
【感想】
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☆高校時代へタイムスリップ!
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人生やり直したいなぁ。なんてボヤいてた中年女性3人組が、ひょんなことから高校時代にタイムスリップしてしまうお話ですね。
常々やり直したい!と思っていた高校時代に戻れて、3人は自分の理想通りの人生を目指して突き進むことになるんですが…
「目指していた理想=幸せ」とは限らない…っていうところが、なかなか皮肉が効いてて面白かったです。
独身で仕事一筋で生きてきてしまった人は、幸せな結婚を求めて理想の旦那様を求めて結婚に走り…
専業主婦一筋で生きてきてしまった人は、夢だった女優になるために必死になって努力を重ね…
人生を過って貧乏な暮らしをしてきた人は、玉の輿を狙ってお金持ちの旦那様を求める。
理想を追うことは決して悪いことではないかと思うんですが…
理想の旦那様をゲットしても、女優の仕事に就いても、玉の輿に乗っかっても…
そうなったらそうなったで、その時はその時ならではの悩み沸き起こってきて、決して幸せじゃない!ってところが人生難しいなぁって感じました。
どの道を進んでも悩みが尽きないなら、今歩んでる道が正しい!と思って生きていきたいですね。
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☆女性が生きるにはツライ時代?
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あと、印象的だったのが、ものすごーく女性差別的な世界観でした。。。
自分は男なのであんまり意識したことなかったんですが…
女性ってこんなに差別されてたりするんですかね??(昔だから?)
女の子は頭が良すぎると嫁の貰い手がなくなるから大学なんて行かなくていい。
兄や弟は大学に行かせてもらってるのに、自分の時はお金がないとかで行かせてくれない。
25歳過ぎたら、クリスマスケーキと同じで売れ残りだから早く結婚した方がいい。
就職しても結婚したらすぐに辞めるのが当たり前。
雇用機会均等法だとか言っておいても、女性が子育て終わってから正社員として働ける場所なんてない。
男と一緒に正社員になったとしても、「女のくせに」とか「女だから」とか言われて出世できない。
女は家で子育てをして、その後は親の介護をするべき。
なんか、悲鳴ともいうべき女性たちの不満の声がたくさん詰まっていて驚きました。。。
おそらく30年くらい前の世の中の話なんだとは思いますが(一部は今も残ってる?)
こう生きるべき!みたいなのが決められてると、すごく生きにくそうな感じがしました(^_^;)
高校を出たら、ちょこっと働きに出て、25歳までにはしかるべき相手と結婚して子供を産んで、
その後は専業主婦として20年くらい家に閉じ込められて、それが終わったら夫の両親の介護。
そんな、「決められたレール」がきっちり敷かれていて、それから少しでも外れていたら「おかしい」と思われてしまうような、そんな時代。
そんな時代を生き抜いた、自分たちの母親世代の人たちって、すごく苦労してたのかな、と思ってしまった作品でした。