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評価:
伊坂 幸太郎
新潮社
¥ 1,620
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【感想】
なぞの「首折り男」が出てくる連作短編集ですね。
といっても、必ずしも全編「首折り男」が出てくるわけでもなく…
なんか各話が微妙に繋がってるような、繋がってないような、そんな感じが不思議な雰囲気の短篇集でした(笑)
個人的にはもうちょっと濃く繋がって、そういうことだったのか!みたいな終わり方をして欲しかったので、
全体的にちょっとあっさり終わってしまった感じがして、ちょっと勿体無かったかなーって思ってしまった作品でした。
以下、印象的な短編の感想です。
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☆首折り男の周辺
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とある夫婦が、「隣に住んでる男は殺人犯なんじゃないか!?」と疑ってるお話。
普通だったら、隣に殺人犯がいるかも!?なんて思ったら怖くなってしまうかと思いますが…
このご夫婦、なんかどことなくヌケてるのか、ほのぼのした会話が繰り広げられるのがなんか好きでした(笑)
もしかしたら、殺人犯がいるのかもしれないのに、「ちょっと隣に行ってみましょうか?」なんて唐突に言い出す妻。
そして、真冬なのに、「見れば腕に傷があればわかるかもしれない」とか言い出す妻(笑)
あまりにも危機感ないすっとぼけた行動に、なかなか愉快な奥さんだなーと思わずにはいられない作品でした。
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☆僕の舟
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60年も昔に好きだった男性のことを調べて欲しいと、男に頼んだ老婆のお話。
普通だったら60年もの昔に好きだった人のことなんて、どうあがいてもわかるはずなんてないかと思いますが…
思いがけずわかってしまって、彼が今どうしているのか、とかまで明らかになる様はなかなかロマンチックで素敵でした(笑)
そして、この作品、作中にいろいろ仕掛けがしてあったりしたんですが…
改めて伏線の張り方が上手いなーって思いました。
読み終わってちょっとほのぼのしました(笑)
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☆合コンの話
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楽しみにして合コンに行ったら、元カノに出会ってしまったというお話。
まぁ、そりゃあ気まずいだろうなーってのは読まなくてもわかりますが…
そんな合コンに、次々とトラブルが起こる感じがなかなか楽しくてよかったです。
そして、一番面白かったのは、各人のセリフと本心が全然違うってところですねー。
セリフだけを読むと、相手を褒めてる内容なのに、実は嫌味だったり、すごいとか言ってるのに、実はあんまりよくわかってなかったり(笑)
まぁ会話なんてそんなもんなのかもしれませんが、どういう思いでこの人はこんなことを言ってるんだろう?なんて考えて会話を聞いてみると、
意外と知らない世界が見えてきて面白いのかもなー、なんて思ってしまった作品でした。
(自分が会話に参加してるときは、とてもじゃないですが、そんな余裕はないですが(^_^;))